再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 そういうところは、恐らく自分に似ているのだろう。央太は、目元を緩めた。

 真綾は必死に隠そうとしていたが、幹太が央太の子どもであることは間違いないだろう。
 色々な方法を使えば、真綾に確認がなくても、幹太が央太と血縁者であることを立証できる。

 だが、それでは意味がない。真綾の口で、「幹太は央太さんの子どもです」と言わせなければダメだ。
 彼女自身が認め、央太に伝える勇気を持ってもらう。そうしなければ、彼女の手も幹太の手も取ることができない。

 六年前のあの夜、自分は、いつもの自分ではなかった。
 そのことに嫌悪し、離れてしまったのだとばかり思っていたのだが、それだけではないような気がしてきた。

 子どもができた。そんな重要なことを、真綾はどうして隠し通さなければならなかったのか。
 彼女なら、こんな大事を相談なしで決行するような人ではない。

 真綾の親友である越川から断罪され、あの頃の央太は何も考えられなかった。
 ただ、真綾に嫌悪感を植え付けてしまった自分自身に憤りを感じていただけ。
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