再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 もう二度と会いたくないという真綾の願いを叶えてあげよう。それが、央太が彼女にできる最後のことだと思ったからだ。

 それからずっと真綾を探すことを止めていた。でも本当は死に物狂いで探し出し、許してもらえないとしても彼女を囲いこんでしまいたかったのだ。
 嫌われていたとしても、絶対に離さない。そんなふうに真綾に言ってしまいたかった。

 バッグにいつも入れっぱなしにしてある、ビロードの小箱を思う。
 真綾が大学卒業の際に渡そうと、ずっと前から準備していたエンゲージリング。それを今もずっと肩身離さず持っている自分は未練がましいのだろう。

 だが、忘れられなかった。真綾以外の女はいらない。彼女が手に入らなければ、もう誰も愛さないだろう。そう思っていたからだ。

 案の定、真綾が央太の目の前からいなくなって六年。央太の目に映る女性は、真綾以外いなかった。そして、これからもずっといないだろう。そう確信できる。

 ――だが、お前は俺の前に現れてしまった……。

 口角が意図せずに上がる。もし、再び彼女に会えたのなら……絶対に離さない。
< 144 / 224 >

この作品をシェア

pagetop