再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 お兄さん風を吹かせ、甲斐甲斐しく晶子の手を取って歩いている幹太は、年上ぶっているとはいえ年相応の顔をしていた。そのことにホッとする。

 幹太は真綾を守ることは必然だと考えているだろう。幼い目から見て、真綾が必死に育児をして幹太を育てているとわかっているからだ。

 胸が痛む。そうさせてしまったのは、他でもない央太自身だからだ。
 越川に止められたとしても、央太に否があったとしても。真綾を探せばよかった。

 今更悔いても仕方がないとわかっているが、後悔ばかりが襲ってくる。
 ギュッと手を痛いほど握りしめていると、誰かが足に纏わり付いてきた。晶子だ。

 ハッと我に返ったあと、慌てて晶子を抱き上げた。

「晶子。今日はママが仕事で忙しいから迎えに来たぞ」
「わーい! 央太お兄ちゃんだ」

 道子が央太のことを「お兄ちゃん」というので、晶子も同じように呼んでくる。
 苦笑いを浮かべていると、鋭い視線を感じた。視線を落として見ると、そこには幹太が真剣な表情をして央太を見つめている。

 視線が合うと、この前会ったときとは違った様子でこちらを見ていた。

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