再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
だが、生まれてこの方。クレーンゲームをしたことがなかった俺はかなり必死だった。
何枚コインを入れたか忘れたが、ようやく取れたときは二人で大喜びしたものだ。
『本当にもう! 央太さんってば負けず嫌いなんだから』
そう言ってぬいぐるみを抱きしめて笑う真綾の顔を、今も鮮明に思い出せる。
ものすごくかわいくて、人目を気にせずに抱きしめたくなった。
そんな時間がいつまでも続くと疑わなかった、あの頃。
だが、結果的には彼女の手を離してしまった。その後悔を、ずっと抱き続けている。
なんと答えていいものかと思案に暮れていると、幹太はそっぽを向く。だが、ぷくぷくでかわいらしい頬は赤く染まっていた。
「ママが……」
「え?」
「あのキャラのぬいぐるみ、うちにもあるんだ。たぶんクレーンゲームで取ったヤツで、ものすごく古い。でも、それをずっとママは大事にしている」
「え……?」
もしかして、以前クレーンゲームで取ってあげたぬいぐるみだろうか。
目を見開いて幹太を見ていると、ゆっくりとした動作で再びこちらを見つめてきた。