再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 幹太の目はまっすぐで澄んでいて……、ドキッとするほど実直だ。

「俺が見ていないところで、そのぬいぐるみに向かって誰かに話していることがあるんだ。〝おうたさん〟って言っていた。おっちゃんの名前も〝おうた〟だよな?」
「っ」

 言葉をなくしていると、幹太は砂場で使っていたおもちゃを片付けながら続ける。

「ママを苛めてくるヤツは大嫌いだ」
「幹太」
「だけど、ママをニコニコにしてくれるヤツなら……許す」
「……」
「ママ。ぬいぐるみに話しているとき、嬉しそうだし、いろんな事話しているみたいだから」

 涙声になっている幹太に近寄ろうとしたが、彼は慌てて目を擦ってそれをごまかした。

 小さな背中には、どれほどのものを背負ってきたのだろう。
 男の子だから、そう思ってママである真綾を守らなくてはと思っているのだ。

 五歳児である幹太。まだまだ子どもだ。でも、真綾を守る男であることに違いない。
 だからこそ、対等な立場の人間として幹太とは話したい。

 晶子を下ろして手を繋いだあと、しゃがみ込んで幹太と目線を合わせる。

< 149 / 224 >

この作品をシェア

pagetop