再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 買い物に出かけて秋物の洋服を見てもいいし、いつもは見て見ぬ振りをしている水回りの掃除をしっかり行うのもいいだろう。

 そんなことを熟々と考えながら部屋に戻ろうとした真綾の目に飛び込んで来たのが、央太である。

 このまま何も見なかったことにして、部屋に戻ってしまおうか。
 気がつかなかったことにすれば問題ないだろうと思ったが、残念ながら視線が合ってしまっている。その手は使えそうにもない。

 実は央太とは久しぶりに顔を合わせた。会議室での一件からひと月が経ったが、その後二人きりで会うという事態にはなっていない。
 オフィス内ではすれ違ったり、仕事の件で他の人間を交えて話すことはあったが、個人的に話すようなことはなかった。

 そのことに安堵と、少々の寂しさが交じっていたことに気がついている。
 だけど、これでいいのだと自分に言い聞かせていたのだ。それなのに――

 どうして今日というタイミングで、央太は真綾に会いに来たのか。
 幹太がいれば、それを理由に央太を拒絶することが可能だっただろう。

 だが、恐らく央太は、幹太が嬉しそうに車に乗り込んで行ってしまったことを知っている。
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