再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 避妊を怠ったのは、その一回だけ。その後は、きちんと避妊をしてくれていた。
 少し冷静になってくれたのだと、あのときホッとしたのを覚えている。

 本当に申し訳なかった、と再度謝ってくる彼に、真綾は首を横に振った。
 
「あのとき、央太さんは私に帰ってくれって何度も言っていた。冷静じゃないから酷くする。それでもいいかって忠告されても、逃げなかったのは私だよ。央太さんだけの責任じゃない。イヤだったら、きちんと拒否した。それをしなかったのは、私だから」

 あのとき、央太が求めてくれて嬉しかった。冷静じゃなく落ち込んでいるとき、自分を頼りにしてくれて嬉しかったのだ。
 だから、子どもができる可能性があるのはわかっていた。わかっていて、央太に抱かれたのだ。

 頑なに言い切る真綾を見て、央太は「あの日……」と六年前の夜を思い出しながらポツリポツリと語り出す。

「実は、あの日。親父に呼び出されて跡を継げと言われた。それだけならまだしも……銀行頭取の娘と結婚して会社を救えとも言われた」
「央太さん」
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