再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 恐らくこの後二人は、その書類について話すことがあるだろう。抜け出すのなら、今しかない。
 咄嗟に逃げだそうとしたのだが、ノアに引き留められてしまう。

「真綾、ちょっと待って」
「ノア」
「ごめん、無理強いをしてしまったね」
「いえ……」

 央太がこの場にいる以上、変に勘ぐられてはノアも真綾も困ることになる。
 色々と思うところはあるが、ここは謝罪を受け入れるべきだろう。
 
央太がいる手前、あからさまに態度で表すわけにはいかないが、どうしたらいいのかと困惑してしまう。
 ノアは、ずっと気持ちを素直に告げてくれている。
 それに応えられないと言っていても、真綾自身が独り身でいる間は諦められないとも言われていた。
 
 そんな中、真綾がずっと想いを寄せている人物がいる日本に戻ってきて、心のベクトルが忘れられない男性――央太――に向いていることに気がついていたノア。
 彼としては、何度愛を囁いても靡かない真綾に痺れを切らしていただろうし、焦りもあったのだろう。
 
 気持ちとしてはわかる。だが、彼の気持ちに応えられないのだから、どうしようもないのだ。
 
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