再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
3 六年ぶりの再会は、嘘だらけ
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「お疲れさまです」

 チームスタッフに早退する旨を告げて打ち合わせを終えたあと、身支度を済ませてエントランスまで下りた真綾は、受付スタッフに頭を下げてオフィスビルを飛び出した。
 
 ノアが言っていたように快く仕事の割り振りを申し出てくれたチームスタッフには感謝しかない。
 それに、リモート作業やフレックスタイム制などを積極的に導入してくれる会社で助かった。
 
 シングルマザーとして働いている身になると、よりこういったシステムの恩恵を感じる。
 だがしかし、リモートといえど看病しながらになるので大変なことには変わりはないのだが。

「うわぁ、ゲリラ豪雨だぁ……」

 今朝は雲一つない晴天だったのだが、急に天候が変わったのはゲリラ豪雨のせいだろう。かなりの勢いで雨が降っている。

 今は梅雨時期。そうでなくても雨の時期なのに、この時期の日本を甘く見ていた。
 前方があまり見えないほどの強い雨を見て、絶望感が襲ってくる。

 とりあえずコンビニでビニール傘を買おうか。いや、そもそもビニール傘でこのゲリラ豪雨に立ち向かうことができるのだろうか。
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