再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 今は央太といち早く離れなければならない。
 真綾は狼狽えた様子で、央太を見つめた。

「うっ……じゃあ、タクシーを呼んで」
「恐らく駅前のタクシーのりばは行列で乗れないだろうし、電話で呼んでもこないぞ?」
「ううっ……!!」

 央太の言う通りだろう。今、むやみやたらに動いたとしても時間ばかりが過ぎて身動きが取れなくなる可能性がある。
 かといって、このまま数時間足止めを食らうのも辛い。

 早く保育園に幹太を迎えにいかなければならないし、そのあとに小児科にも連れて行かなければならないだろう。時間はいくらあっても足りない。

 それに、幹太は体調が悪く心細い思いをしているはずだ。
 日頃は大人びていて頼りがいがある幹太だが、実はさみしがり屋だということもわかっている。

 いつもは一人で奮闘している真綾に気を遣い、しっかりしているように見せかけている幹太だが、病気のときはソッと素顔を見せてくれる。

 そんなふうに肩肘張らずに子どもらしくいてほしいと思うのだが、幹太に無理をさせているのはきっと真綾のせいだ。
 もっとしっかりとした母親になりたい。何度も噛みしめていることである。

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