再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 早く幹太の元に行ってやりたいのは山々だが、この状況では難しそうだ。
 チラリと央太に視線を向けると、彼がそれに気がついた。

 フッと表情を和らげ、真綾をまっすぐに見つめてくる。その表情は、六年前と変わらず、真綾の大好きな央太の仕草だ。
 ドクンと一際高く鼓動が鳴るのを感じていると、央太は真綾の背中に手を添えて促してくる。

「早く保育園に行きたいんだろう?」
「……はい」
「とにかく乗ってくれ」
「……」
「真綾」
「はい……スミマセン。よろしくお願いします」

 色々と心が揺れていると、央太に厳しい声で名前を呼ばれて条件反射のように頷いた。
 今はとにかく幹太の元に早く行くことを考えよう。真綾は、渋々と央太の車に乗り込んだ。

 シートベルトを締めると、央太がカーナビを操作しながら保育園の住所を聞いてくる。
 慌てて携帯を取り出して住所を告げると、央太はその住所を入力してナビを起動させた。
 央太は、横に座る真綾に声をかけてくる。

「じゃあ、車を出すから」
「お願いします」

 央太がハンドルを握る車はゆっくりとロータリーを回り、道路へと車は走り出す。
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