架空女子でごめんね
「ちっげーよ!オレじゃなくって」
後藤くんは本気でイヤそうな顔になる。
その時。
ひとりの女の子が、ニヤニヤ笑って近寄って来た。
「後藤ー、彼女が出来たのー!?」
その女の子は、伊藤さんだった。
「だから、違うって」
後藤くんが私に、
「徹平に用事なの?」
と、不機嫌に聞いた。
私はうなずく。
「徹平くん、いますか?」
後藤くんは、
「待ってて。今、電話して呼んであげる」
と言ってくれたけれど、その場にいた伊藤さんを含めた数人が、
「はっ!?徹平の知り合い!?」
と、大きな声を出した。
「何かの間違いなんじゃないの?」
伊藤さんは私を睨む。
「だってついこの前、めっちゃ可愛い子といたよ?いかにもデート帰りって感じで!」
伊藤さんの不満そうな声。
後藤くんは面倒くさそうに、
「だから、それがこの子なんだって」
と、私を指差した。