架空女子でごめんね

「聞けよぉぉぉっ」



まるでコントみたいなやり取りに、私は思わず笑ってしまった。



「津山さんってさ」



島田さんが私をじっと見つめる。



「?」

「津山さんってさ、キレイになったよね?」



島田さんが真顔で言うから、私は「あはっ」と笑って、
「引っかかりませんよ!こんなシンプルな顔をつかまえて、何言ってるんですかー」
と、島田さんの肩を軽く押した。



「いや、私も思うよ?津山さん、キレイになったよ」



山川さんも私を見る。



「徹平くんのおかげなんじゃない?」



福本さんがマシュマロのお菓子を口の中に放り込む。

もぐもぐと咀嚼しながら、
「だってさ、人は恋するとキレイになるってよく言うもんね?」
と、言った。



「私、その言葉きらーい」



島田さんがすかさず言う。



「そうかもしれないけれど、その人の努力あってこその『キレイ』だもん。恋した全員が、何もしないでキレイになるような言い方に聞こえてくる」


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