架空女子でごめんね
いつかみたいに。
片手をあげて、優しく目を細めてくれた。
(あぁ、好きだなぁ。その表情も仕草も)
胸の中が熱くなって。
ドキドキする。
改札を抜けると、徹平くんも近寄って来てくれて。
「すずめちゃん、おはよう」
と言ってから、
「もう昼前だけど」
と、笑った徹平くん。
「おはようございます」
「こうやって会うのは、久しぶりだね」
「はい。期末テスト、お疲れ様でした」
「すずめちゃんも、お疲れ様!」
徹平くんが出口に向かって歩き出した。
私も一緒に歩き出す。
「外、暑いねー。オレもキャップ、被ってきたら良かったかも」
「今日、最高気温がものすごい数値でしたよ」
「えっ、本当?」
「体温でいうと、高熱って感じですね」
他愛ない話をしつつ、ふたりでニコニコ笑っていた。
すると、すれ違った同年代の女の子達が、徹平くんを見て、
「あの人、カッコイイ」
と、言った。