架空女子でごめんね

「本当、マジでカッコイイ!」



(……やっぱり徹平くんは、人気があるんだなぁ)



ぼんやり考えていたら、女の子達の声が少しだけトーンダウンして、こう言ったのが聞こえた。



「……でも、隣にいる女の子、普通じゃない?あのふたり、カップルじゃないんじゃない?」



あ。

やっぱり。



(みんな、そう思うよね?)



ちょっとだけ傷つきそうになった時。

徹平くんの手が、私の手にそっと触れた。



(え?)



優しい手つきで、私の手を握る徹平くん。



「……ちょっと!あの人達やっぱりカップルなんだよ」



女の子達の声は遠くなっていく。



「徹平くん?」



私は徹平くんの顔を見た。



「……あ。やだ?」



徹平くんは慌てて、手を離そうとした。

私は、
「ううん!」
と、徹平くんの手を握り返した。



照れてきて、しばらく何も言えないでいると、
「すずめちゃんの手って、小さくて可愛いね」
と徹平くんが言ったので、よけい照れることになった。




< 120 / 132 >

この作品をシェア

pagetop