架空女子でごめんね
「本当、マジでカッコイイ!」
(……やっぱり徹平くんは、人気があるんだなぁ)
ぼんやり考えていたら、女の子達の声が少しだけトーンダウンして、こう言ったのが聞こえた。
「……でも、隣にいる女の子、普通じゃない?あのふたり、カップルじゃないんじゃない?」
あ。
やっぱり。
(みんな、そう思うよね?)
ちょっとだけ傷つきそうになった時。
徹平くんの手が、私の手にそっと触れた。
(え?)
優しい手つきで、私の手を握る徹平くん。
「……ちょっと!あの人達やっぱりカップルなんだよ」
女の子達の声は遠くなっていく。
「徹平くん?」
私は徹平くんの顔を見た。
「……あ。やだ?」
徹平くんは慌てて、手を離そうとした。
私は、
「ううん!」
と、徹平くんの手を握り返した。
照れてきて、しばらく何も言えないでいると、
「すずめちゃんの手って、小さくて可愛いね」
と徹平くんが言ったので、よけい照れることになった。