架空女子でごめんね

お昼ごはんに何を食べるかという話で私達は盛り上がり、
「あ、この先にさ、ラーメン屋さんがあるんだけれど」
と、徹平くんが言ったお店の前まで来ると、何とも美味しそうなとんこつスープの匂いに、私のお腹は「きゅるん」と鳴った。



恥ずかしさで真っ赤になる私に、
「あはっ、オレもお腹すいてきた!」
徹平くんは嬉しそうに笑ってくれた。



ラーメン屋さんで。

徹平くんと同じ、とんこつラーメンを食べた。

好きな人と同じものを、「美味しいね」って言いながら食べるのは。

幸せで。

贅沢な時間なんだなって感じた。



徹平くんが食べ終わった頃、私はまだ半分くらいしか食べてなくて。



(待たせちゃう)



少し焦って食べていたら。



「大丈夫だから、ゆっくり食べなよ」
と、徹平くんがニコニコしてくれた。



そんな些細なことだけど。

いいな、この人って。

やっぱり好きだなって。

改めてドキドキした。

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