架空女子でごめんね

(だ、誰だろう……)



その背の高い男子は、髪をハイトーンカラーにしていて。

耳にはピアスがいくつも並んでいる。



「おー、久しぶり!」



徹平くんは近づいて来る男子に、片手をあげた。



「何、彼女〜?」



冷やかしてくる男子に徹平くんは、
「そうだよ。お前、覚えてない?同じ中学の津山さん」
と言ったので私と男子は、
「えっ!?」
と、声が揃った。



「えっ、津山さん……、津山さん……?」

「えっ、同じ中学……?」



私と男子はお互いにじっと顔を見合った。



「自転車の鍵失くした女の子にオレが声かけてさー、一緒に探したこと覚えてない?」
と、男子に言った徹平くんは、
「すずめちゃんも、一緒に探してたオレの友達の中に、こんなふうに背の高い奴いたの、覚えてない?」
と、私の顔を見た。



「……いた!」



再び声が揃う、私と男子。



「シンクロしてるじゃん」
と、笑う徹平くん。


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