架空女子でごめんね
第3話 プリンセス
それから。
私達はD駅周辺をブラブラ歩いたあと、D町自然公園までやって来た。
遊具がたくさんある場所で。
徹平くんが、
「すずめちゃん、あれ乗ろうっ」
と、指差した。
(あれって、ブランコ?)
徹平くんは誰も乗っていないブランコに腰かけて、
「あはっ、なんか小さく感じるー」
と、笑っている。
「オレ、ブランコ苦手だったんだよね」
「えっ、大丈夫なんですか?」
「今は平気!小さい頃さー、ブランコめちゃめちゃ漕いで、結構な高さから落ちて」
「わぁっ、痛そう」
私も徹平くんの隣のブランコに腰かける。
徹平くんはブランコに乗ったまま、私に近寄り、
「その時の傷跡、まだ残ってるんだ。ほら、ここ」
と、前髪をかきあげて、おでこを見せてくれた。
おでこの左側、前髪の生え際の所に。
一本の線のような傷跡を見つけた。
「まだ痛みますか?」
そう言っておでこにそっと触れたら、徹平くんは笑って、
「もう痛くないよ、さすがに」
と、私の指先に自分の手を重ねた。