架空女子でごめんね
聞いてほしい。
「いいよー!」
「聞きたい、聞きたい!」
福本さんと島田さんがはしゃぐ。
山川さんも、
「よっしゃ、話してよ!」
と、また私の席のほうへイスの向きを変えて座る。
私はゆっくりだけれど、話し始めた。
中学校の駐輪場でのこと。
一緒に帰った、あの時間。
でも何も出来ずに卒業したこと。
「何それ、めっちゃステキじゃん」
福本さんが目を輝かせている。
話し終える頃には、いつの間にかギャラリーが増えていて。
教室に居たクラスのみんなが、私を中心に輪を作っていた。
「津山さん、マジでピュア」
「胸きゅんってこういうことかー!」
「少女マンガみたい」
みんな胸に手を当てて、うっとりとしている。
その様子がなんだか可笑しくて。
「あはははっ」
と、笑ってしまった。
「なんだ、あんた笑えるんじゃん」
山川さんはそう言って、私のおでこを軽くデコピンした。