架空女子でごめんね
振り向くと、そこにはキラキラまぶしい人が。
私と同じ3年生の、目立つグループにいる男子。
顔は知っている。
でも、名前は知らない。
その男子の後ろには、これまたキラキラした人達がいた。
そういえばこの人達4人で一緒にいるのを、校内で何度か見かけたことがある。
みんなそれぞれクラスは違うけれど、幼馴染みで仲が良いっていう噂を聞いたことがあったっけ。
つまり。
私みたいな教室のすみっこで、ぼんやりとぼっちライフを送っているような人間が、関わることなんてない人達。
……あれ?
でも今、話しかけられた……よね?
「徹平、その子誰?」
4人の中で1番背の高い男子が、私に声をかけた男子に尋ねる。
徹平と呼ばれたその人は、
「知らないけれど……、何か様子がおかしい感じがして」
と答えてから私に向き直り、
「何か困ってンの?」
と、聞いた。
「じ、自転車の鍵を失くしちゃって、探しているんです」
思ったより小さな声しか出なかった。
緊張しているのかな。
手に汗を感じる。
「鍵?マジで?」
徹平くんは眉間にシワを寄せて、
「いつから無いの?いつ気づいた?」
と、聞いてきた。