架空女子でごめんね
「本当だー、笑顔の津山さんって、初めて見たかもー」
福本さんは嬉しそうに私を見る。
クラスのみんなも「本当だ」、「初めて見た」と言って、ニコニコしてくれる。
嬉しくて。
心の中がぽかぽかしてくる。
「で?」
山川さんが少し声を張った。
みんな山川さんに注目する。
「津山さんは告白したくて、でも自信が無くて、悩んでいるってことだよね?」
私はうなずく。
「本当は……」
口を開くと、今度は私に注目が集まった。
「本当は、近づきたいんです。隣に居たい。……目も合わせられないような私なんかがおこがましいんですけれど」
教室がしんっと静まった。
「なんで?」
沈黙を破ったのは、山川さん。
「あんたの正直な気持ちに、おこがましいも何もなくない?」
「え?」
「『私なんか』って言うの、やめなよ。津山さんは、津山さんじゃん」
私はきょとんとしてしまう。