架空女子でごめんね
「じゃあ、もう『ぼっち』卒業だね」
福本さんが私の頭を優しく撫でた。
「1年2組のみんなは、津山さんと友達だ!」
「え?」
福本さんの笑顔がまぶしい。
山川さんも、
「『え』じゃないし」
と言って、両手で私の髪の毛を乱暴な手つきでくしゃくしゃに撫でた。
髪の毛があっちこっちに向く。
「これからは津山さんをぼっちなんかにさせないから。恋バナまでしたんだもん。ウチらみんなで友達になって、津山さんのことを応援する!」
山川さんの言葉に、クラスメート達はうなずいている。
嬉しくて。
やっぱり私は泣いてしまった。
こんなに幸せな涙を。
今日まで知らなかった。
それから。
放課後。
クラスのみんなと連絡先を交換した。
今までは死んだように静かだった、私のスマートフォンが。
「ポコッ」「ポコッ」と、着信音を鳴らしている。
まるで産声を上げているみたい。
「生きているぞ」と、訴えているんだ。