架空女子でごめんね
電車に乗って。
地元の駅まで帰ってきた。
無意識に C東高の制服を探してしまう。
駅前のコンビニエンスストア。
駐車場のすみっこに。
徹平くんは、いた。
思わず、近くの電柱の影に隠れてしまう私。
「大丈夫だよ。泣かなくてもいいからさ」
徹平くんの優しい声が聞こえる。
そっと視線を滑らせると、徹平くんのそばには小学生くらいの男の子がいた。
涙でぐしょぐしょの顔をしている。
「今度嫌な思いをしたらさ、その気持ちを言葉にして相手に伝えなよ。嫌なことは嫌って、伝えることも大切だからさ」
「でも……、そうしたらもっと嫌われない?」
不安そうな表情で、男の子は徹平くんを見上げる。
徹平くんは男の子と同じ目線になるようにかがんで、こう言った。
「うーん、それも怖いよな?でもさ、ずーっと嫌な思いをすることと、どっちがつらいのか考えてみるといいよ」
「うん」