架空女子でごめんね
第3話 強くなるための魔法
簡単なことではない。
そんなことは重々承知している。
「え?自分を変える?」
山川さんが私に丸くなった目を向ける。
「お、おしゃれとかメイクとか、してみたいんです」
自分で言っていて恥ずかしくなってくる。
思わずうつむいてしまった。
「私、可愛くなれるとは思ってないです。でも自分に自信をつけるには、外見も変えられたらいいなぁって」
どんどん声が小さくなっていく。
昼休みの教室のざわめきが、やけに遠くに聞こえた。
「いいじゃん、やってみなよ」
山川さんが言って、私は顔を上げる。
「ほ、本当に?」
「うん。あたしで良かったら協力するからさ」
「心強いです……!」
山川さんはニイッと笑って、
「自信をつけて、気持ちを伝えられるといいね」
と、言ってくれた。
放課後。
私は高校のそばの大型書店へ向かった。