架空女子でごめんね
駅前のコンビニ。
駐車場のすみっこ。
徹平くんの姿を見つけた。
今日は同じ制服を着た数人とアイスクリームを食べている。
徹平くんの隣には。
髪の毛の長い、きれいな女の子。
ぱっちりとした目。
ぷっくりした唇。
桃色の愛らしい頬。
(……まさか、彼女?)
親しそうに話しているふたりの姿は。
「お似合いのカップル」という言葉がぴったりで。
私の心をざわつかせる。
徹平くん、ステキだもん。
恋人がいたって、おかしくないじゃない。
それにあんなに可愛い女の子がそばにいるなら。
徹平くんだって好きになっちゃうよね?
(早く帰ろう)
帰って、メイクの練習しなくちゃ。
でも。
私がメイクする理由って。
もう、ないんじゃない?
歩く速度がどんどん遅くなっていく。
その時、背中から笑い声が聞こえてきた。
徹平くんの、明るい笑い声。