架空女子でごめんね

家に帰ると。

スマートフォンが振動した。

山川さんからのメッセージだった。



『言い忘れてたけれど、お手本とか目標を決めるといいよ!憧れの女優やモデルなど誰でもいいから、誰かをお手本にしてみるとメイクって上達するよ!』



読み終えると、私の心の中で何かがキュッと引き締まった気がした。



(ひとりじゃない)



そう思うと、嬉しかった。






憧れの人……。

そう言われて真っ先に浮かんだ顔。

スマートフォンをテーブルに置いて。

私は鏡に向かった。



メイクして。

写真を撮って。

見慣れない自分の顔に、
「いつか告白できますように」
と、願いを込めて呟いた。






翌日。

私立C C女子高等学校。

1年2組の教室。



「あっはっはっはっはっ!」



さっきから。

山川さん、福本さん、島田さんが大笑いしている。



「ムリ!ムリ!これ以上は笑い死ぬ!」



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