架空女子でごめんね

「そんなに笑わなくても……」



私は手に持ったスマートフォンの画面を見た。

メイクをした昨日の私の自撮り写真が表示されている。



私のいつものぼんやりした顔が、くっきりしている。

チークもふんだんに使って血色がいいし、アイメイクもハッキリしていて目元が目立つ。



……でも。

まぁ、確かに。



「これで本当にいいのかなって、ちょっとは思いましたけれど」



島田さんは、
「あはっ、あはははははは!『ちょっと』!?いやいやいや、いいわけないじゃん!」
と、笑いが止まらない。



「あんた、誰をお手本にしたのさ」



山川さんは笑い過ぎて、ぜぇぜぇと肩で息をしながら聞いてきた。



「プリンセスです」

「……は?」



山川さんが半笑いの表情のまま聞き返してきたので、私はもう1度、
「ずっと憧れているプリンセスです」
と、答えた。



「知りませんか?このアニメ映画」



スマートフォンを操作して、プリンセスの画像を見せる。


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