架空女子でごめんね

山川さんは、
「あー、知ってる。流行ったよね、観たことあるよ」
と、目に溜まった涙を拭いている。



「そっかぁ、憧れてんだね」



落ち着きを取り戻した福本さんと島田さんが、プリンセスの画像を覗きこんだ。

私は不安になり、
「やっぱり私なんかが、おこがましいですか?プリンセスなんて……」
と口走ると、
「あ、また言ってる!『私なんか』は禁止だっつーの」
山川さんがピシャリと言い放つ。



「津山さんのメイクの仕方、少し加減すればいいと思うよ」



福本さんが私の自撮り写真とプリンセスの画像を見比べて言った。

島田さんも、
「あー、わかる。アイシャドウもチークもハッキリと入れ過ぎなんだよね」
と、あごに手を当てて、探偵のような考える仕草をしている。



私はメモを取り出し、
「もう1度どういうことか、教えてください」
と、3人を見た。






翌日の放課後。

持ってくるように言われたメイクポーチを机の上に出して、私は山川さんと教室にいる。


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