架空女子でごめんね
メイクし終わると、山川さんがほんの少し目を丸くして、私を見た。
「大丈夫ですか?」
「うん。すごく上手だと思う。ふんわり可愛い系って感じで超イイ」
嬉しくなって、ニヤニヤしてしまう。
「津山さんって化粧映えする顔立ちなんだね」
「え?」
「……あのさ、提案なんだけど」
山川さんは自分のメイクポーチから何かを取り出した。
「これ、使ってみない?未使用だし、安心して。まぁ、津山さんが使いたいかどうかだけど」
「これって……」
私がいつか挑戦したいと思っていたもの。
ズバリ、つけまつ毛だった。
「目元の印象がだいぶ変わるよ」
山川さんは私の手に、つけまつ毛のパッケージを乗せる。
「練習してみない?」
思わずゴクリと生唾を飲んだ。
(難しそう……)
だけど。
華やかな目元に憧れはあって。
手の中にはそれを叶えるアイテム。