架空女子でごめんね
私は山川さんを見た。
「付けかた、教えてもらえますか?」
山川さんが嬉しそうに、ニイッと笑った。
「つけまつ毛は一気に装着しようと考えないほうがいいよ」
つけまつ毛をパッケージから取り出し、私の目に軽く当てて、長さを確認する山川さん。
それから慣れた手つきで、つけまつ毛に専用ののりを付けている。
「ちゃんとメイク動画とか、インターネットで、きちんとした付けかたを自分でも調べてね」
そう言って山川さんは、
「あたしは自己流になってるかもだから」
と、笑った。
「いい?アイラインに沿って、つけまつ毛を乗せるように付けるといいよ。最初は目の中央部分にそっと乗せて、目頭部分、目尻部分にもそっとね」
山川さんは説明しつつ、あっという間につけまつ毛を付けてくれた。
「目を開けてみて」と言われて、鏡をのぞくと。
そこには「私じゃない私」がいた。