架空女子でごめんね
「あの……、ありがとうございます」
頭を下げると、
「鍵の目印を教えて」
ともう1度言われて、
「プリンセスのキーホルダーが付いています。ピンクのドレスを着ています」
と、慌てて答えた。
私と徹平くん達4人は。
駐輪場の中を行ったり来たり。
手分けしながら鍵を探す。
30分程経った。
でも見つからない。
「あの、本当にもう、大丈夫ですから」
申し訳なくなって、私は4人に言った。
この人達は、どこかに行く予定だったに違いない。
時間も無い中、30分も一緒に探してくれた。
「どうやって帰ンの?自転車乗れなかったら大変じゃん」
徹平くんはまだキョロキョロしつつ言う。
他の3人も探し続けてくれている。
「あ!」
短く叫んだのは、徹平くん。
「鍵、あった!?」
背の高い男子が徹平くんを見る。
徹平くんの手には自転車の鍵。
……でも。