架空女子でごめんね
午前中なら人も少ないかな、と思っていたけれど。
ショッピングモールの中はわりと混んでいた。
欲しいと思っていたワンピースと、刺繍入りのTシャツを2枚買って、ショッピングモールから出ようとしたその時。
「あの子、可愛いくね?」
「わかる。声かける?」
と、すれ違った男の人ふたりが、私の肩をポンポンと軽く叩いた。
(え?)
「あ、ごめん、ごめん。ビックリさせたよね?」
そのうちのひとりがニッコリ笑って、
「オレらと遊ばない?」
と、私の腕を掴む。
慌てて腕を引っ込めて、
「遊びません」
と、答えた。
驚いて、声が少し震えてしまって。
きゅっと下唇を噛む。
「かーわいー。怖がんないでよ。大丈夫だからさー」
もうひとりが私の肩を抱く。
ぞわっと嫌悪感が体中に広がった。
(これってナンパ?)