架空女子でごめんね
ナンパしてきたふたりはひるんだのか、私の肩から手を離した。
その一瞬のタイミングで。
私は徹平くんのほうへ走り寄り、徹平くんも手を伸ばして私を引き寄せてくれた。
「なんだよ、シラけるし」
「あーぁ、気分台無し」
ふたりはそう言いつつ、去って行った。
「大丈夫?怖かったよね?」
徹平くんはショッピングモールの中に設置されているベンチに、私を座らせてくれた。
「ありがとうございました」
「ううん、オレは別に何も。あっ、勝手に『彼氏』とか言っちゃってごめん。そのほうが向こうも納得するかと思って」
ベンチの向かい側にある自動販売機で何かを買った徹平くんは、私に「はいっ」と、2本のペットボトルを差し出した。
「どっちがいい?」
イチゴ味のジュースとリンゴ味のジュース。
私は少し迷って、イチゴ味のジュースを選んだ。