架空女子でごめんね
前を通る、私達と同年代の人達。
徹平くんと私を見て、ひとりが「あっ」と、声をあげた。
「いた、いたよ!徹平だ!」
ん?
徹平くんの知り合い?
「徹平ー、お前が全然待ち合わせ場所に来ないから、ずーっとスマホに電話してたっつの」
声をあげていたガッシリとした体格の男子が、ずんずん近寄ってくる。
「あ、ごめん。忘れてた」
徹平くんは立ち上がり、
「じゃあ、オレ行くね」
と、私に言った。
「あの、本当に、ありがとうございました」
慌てて頭を下げるものの、内心では淋しかった。
(もう少し一緒にいたかったな)
そんな考えが頭に浮かんで、思わずうつむく。
(何を考えているんだろう、私)
ほんの少しでも一緒にいられて。
それだけでも奇跡みたいなことなのに。
(わがままだよね)
心の中で猛烈な反省をしている私を。
ガッシリした体格の男子が、じっと見ていることに気づいた。