架空女子でごめんね
え、津山すずめって、あの津山すずめ?
どうしたの、そんなに化粧して。
まるで別人じゃん。
何これ、笑えるし。
(……そんなことを徹平くんは言わないと思うけれど……)
でも。
内心ではどう思われるんだろう。
(怖い……)
固まったままの私を不思議そうな顔で見ている男子が、
「大丈夫?気分でも悪いの?」
と聞いてきたことで、私は我に返った。
そして口から咄嗟に出た言葉が、
「……とり」
だった。
「鳥?」
今では少し眉毛を寄せつつ焦ったそうにしている男子は、
「鳥って?キミの名前が?」
と、私と徹平くんを何故か交互に見た。
「み……、『美鳥』です」
私は、そう言ってうつむいた。
『美鳥』?
美しい鳥だなんて、おこがましいかな。
でも、私。
言っちゃった。
嘘、ついちゃった。