架空女子でごめんね
「……わ、私、言います」
私は山川さん達に、こう宣言した。
「『美鳥』は私だって、嘘ついてごめんなさいって、きちんと言います」
放課後。
地元の駅に着いた私は、早速徹平くんの姿を探した。
ノーメイクで本当のことを伝えるつもりだったけれど。
信憑性に欠けるとみんなに言われて、『美鳥』になるために、教室を出る前にメイクをした。
徹平くんはいつも通り、コンビニの駐車場のすみっこにいた。
今日も何人かの友達と楽しそうに話している。
みんな、男子だった。
数回の深呼吸を繰り返して、私は徹平くんに近づいた。
「あ、あの……」
声をかけるとその場にいた全員が、バッと私を見るので逃げだしたい気持ちになる。
「えっ、『美鳥』ちゃんじゃん!」
体を乗り出してそう言ったのは、昨日ショッピングモールにいた、ガッシリとした体格の男子だった。
キラキラ目を輝かせて、私をじっと見ている。