架空女子でごめんね
後藤くんは、
「えー、いいなぁ。オレも『美鳥』ちゃんを送っていきたーい」
と言ったけれど、他の人達に、
「空気読もうぜ、後藤」
と、冷たい視線を注がれていた。
徹平くんと並んで歩く。
さっきまでとは違う緊張感。
このドキドキは、心地良い。
私の歩幅に合わせてくれる徹平くん。
あの日と同じように、車道側でゆっくり歩いてくれた。
「その制服って、CC女子?」
ふいに尋ねられて、
「あ、はい」
と、慌ててうなずく。
「高校、楽しい?」
「……すごく、楽しんでいます。クラスの人達みんな、良い人ばかりだから」
「そっか。良かったね」
徹平くんはニコニコと笑う。
その笑顔に、胸がきゅんとした。
「えっと……」
と、徹平くんは私を見て、
「オレ、徹平……です」
と、名乗った。
「徹平、くん」
知っている、とは言えなかった。
だって。