架空女子でごめんね

「うん、平気です。まだ空も明るいから」



私は立ち止まり、徹平くんに軽く頭を下げた。



徹平くんは少し考えてから、
「『美鳥』ちゃん、オレと連絡先を交換してくれる?」
と、言った。



(え?)



「えっ!?」



思いがけない言葉に、頭の中が真っ白になりそう。



「あ、イヤなら全然……。ごめん、変なこと言って。ただ、友達?になりたいなって」

「イヤじゃない!」



徹平くんの言葉を遮るように答えた私に、徹平くんは驚いた表情をしてから、
「そっか。良かった」
と、満面の笑みを見せてくれた。



その笑顔にうっとりする。



(……ん?)



ちょっと待って。

うっとりとした気持ちを一旦追い払って、冷静な心を引っ張り出してくる。



(連絡先の交換?メッセージのやり取りをするってことだよね?)



私が普段使っているメッセージアプリのアカウント名には、思いっきり「すずめ」と書いてある。



(バレちゃうじゃん!)



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