架空女子でごめんね
授業が終わって、教室に戻った頃。
スマートフォンが振動した。
『今日の放課後って時間ある?もし良かったら会わない?』
徹平くんからだった。
うさぎが両腕を組んで、頭に「?」を乗せているイラストも送られてくる。
嬉しくて、顔が緩む。
メイクポーチは鞄の中に入っている。
『美鳥』には、なれる。
私は素早く、
『大丈夫です』
と打ち込んで、お気に入りのプリンセスのふきだしに「OK」という文字があるイラストと一緒に、徹平くんに返信した。
「津山さん、デート?」
山川さんの声がして、私は後ろを振り向く。
「わかってる?『美鳥』のままで会えば会うほど、嘘を重ねるんだからね」
「わかっています」
それでも、今のこの状況を捨てられない。
山川さんは「はぁっ」とため息を吐いて、
「……わかった。じゃあ、応援する」
と、呟いた。
「え?」