架空女子でごめんね

ハッとして徹平くんを見ると。

優しく目を細めて、私を見ていた。



心臓がドクンと跳ねる。



「良かった。『美鳥』ちゃんは気に入ってくれると思ったんだ」






それから。

数日が過ぎた。

その間に徹平くんと2度、会った。



「ふたりでどこに行ったの?」



昼休みの教室で。

私は山川さん達と、お弁当を食べている。

山川さんが売店で買ってきた菓子パンを、美味しそうに咀嚼(そしゃく)しつつ、聞いてきた。



「ショッピングモールでブラブラした日もあったんですけれど、1度は映画館に行きました」

「えっ!」



島田さんがお弁当から顔を上げて、
「それって、もうデートじゃん!」
と、目を輝かせた。



「徹平くんは何か言ってきてるの?『付き合って』とか、『好きだよ』とか」



福本さんの言葉に私は大慌てして、
「そんなことは全然!!連絡先を交換した時も『友達になりたい』って言われただけですからっ!」
と、答えた。



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