架空女子でごめんね
「えー、でも友達の先を期待しての言葉だったりしてぇ」
島田さんが、ニヤニヤする。
「山川だって彼氏とは最初、友達だったもんね?」
福本さんが言うと、山川さんは「まぁね」とうなずいた。
「山川さんって恋人がいるんですね」
初めて聞いたなぁ、と思っていると、
「いるよ。ちなみに島田にもいるよね、彼氏」
と、山川さんは島田さんの肩を小突いた。
「……私にはいないけれどね」
福本さんが笑って言う。
「福本ちゃんは彼氏いらないって思っているからでしょ。モテるくせに」
島田さんも笑った。
(あぁ、いいなぁ)
ずっとすみっこで憧れていた。
こんなふうにおしゃべりしながら。
誰かと笑い合う休み時間。
(それが今、叶ったんだ)
ふと。
制服のポケットの中のスマートフォンが振動した。
画面を確認すると、徹平くんからのメッセージだった。