架空女子でごめんね
第3章
第1話 誰にも届かない言葉
月曜日になって。
3時間目の授業。
現代国語の田村先生が急に休んだので、この授業は自習になった。
教室の中はざわざわガヤガヤと、みんなおしゃべりを楽しんでいる。
私の前の席に座っている山川さんが、
「梅雨が明けたら、一気に暑さって増すよねぇ」
と、振り向いた。
「徹平くんと水族館に行ったんでしょう?楽しかった?」
「……」
何も言わない私の顔をのぞきこむ山川さん。
「どうしたのさー?何かあった?」
「……」
「……津山さん?」
「……好きって、言われました」
「ん?好き?」
山川さんは少しの間黙ってから、
「え!?どういうこと!?告白されてるじゃん!?」
と、大きな声を出した。
クラス全員が私達を一斉に見る。
福本さんと島田さんがイスを持って、
「何、なに!?」
と、近づいて来た。
「……『美鳥』が、好きだって」