架空女子でごめんね

そのままコンビニを通り過ぎようと思った。

だけど。



コンビニの駐車場。

すみっこに、C東高の制服。



徹平くんが、いた。






(どうしよう)



徹平くんは、待っている。

私を。

……ううん。





徹平くんは、『美鳥』を待っている。





(このままでいいわけない)



本当のことを打ち明けなきゃ。

そう思うのに。



私の足はどうしても、駐車場には進めない。



その時。

コンビニの中からC東高の人が出て来た。

制服を着崩していて、
「外、あっつー!」
と、大きな声を出している。



その声には、聞き覚えがあった。



(後藤くんだ)



「徹平ー、じゃあ、オレ行くわ!またなー!」



ハキハキとした声で徹平くんに声をかけると、後藤くんはこちらに向かって来た。



(あ、ヤバイ)



徹平くんも後藤くんも。

私に気づいた。



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