架空女子でごめんね
そんな徹平くんの様子からは、判断が出来ない。
今、徹平くんが声をかけたのが。
津山すずめなのか。
『美鳥』なのか。
「あ、あの……」
勇気を出して、私は声をかけた。
「あの、私……、急ぐので……」
この場からいなくなりたい。
そんな私の目論見は。
後藤くんの言葉によって、打ち砕かれる。
「あれ?その声、『美鳥』ちゃんとそっくり」
「えっ」
「ほら、『美鳥』ちゃんと同じ声じゃね?……な、徹平」
後藤くんから、ゆっくり私に視線を移す徹平くん。
黒く輝く、徹平くんの瞳に。
私。
津山すずめがいる。
ほんの一瞬。
私と徹平くんは、見つめ合った。
何も言わず。
黙って。
お互いの瞳に、自分をうつして。
「その制服、CC女子高だよね?『美鳥』ちゃんと同じ」
後藤くんが私の肩にポンッと、手を置いた。
ビクッと跳ねる私の肩。