架空女子でごめんね
第2話 本当の私
家の中に入ると、ひばりがヒョコッと顔を出した。
「おかえりー」
「……ただいま」
「ん?お姉ちゃん、元気ない?」
そんなことないよ、と言おうとして、出来なかった。
ぽろぽろとこぼれていく涙の粒。
「ど、どうしたの!?」
慌てるひばり。
「とりあえず部屋に行こう?」
そう言って、ひばりの部屋に連れて行ってくれた。
久しぶりの妹の部屋。
本棚にびっしりと収納されている小説。
窓辺には、ひばりが大好きな多肉植物の寄せ植えの鉢がいくつか並んでいる。
天井からぶら下がる宇宙船のモビール。
いつ来ても、ひばりの部屋は落ち着く。
「何か、飲み物を持ってくるね」
ひばりは一旦部屋を出て行った。
私はその間に、サイドテーブルに置かれたティッシュケースから1枚、ティッシュペーパーを引き出して、目に当てた。