架空女子でごめんね
「ほら、連絡して。きちんとその人と話してみたらいいじゃん」
そう言って、私にスマートフォンを渡す。
「待ってるかもよ、その人。お姉ちゃんのこと」
私は、スマートフォンを見つめた。
「……うん」
自分の部屋で。
とりあえずTシャツとデニムに着替えた。
さっき走ったから、制服はなんとなく汗の臭いがしていそうだったから。
スマートフォンを持って。
画面を操作する。
メッセージアプリを立ち上げて。
徹平くんとのやり取りのページをタップした。
『今、どこにいますか?』
と、打ち込む。
しばらく送信ボタンが押せなくて。
私の指は、メッセージの送信ボタンとメッセージアプリを閉じるボタンを、行ったり来たりした。
「頑張れ、私」
私はえいっと、送信ボタンを押した。
すぐに徹平くんからの返事が届く。
『まだ駅前にいるよ』