架空女子でごめんね

(あぁ、可愛い顔に生まれていたならどんなに良かっただろう)



「?どうした?」



徹平くんは不思議そうな表情。



あ。

そうだ、名前。



「……津山です」

「津山さん。下の名前は?」

「え?すずめです。津山すずめ」



徹平くんは途端に目を輝かせた。



「すずめ?可愛い名前じゃん」



(!?)



「可愛い」と言われたことがほとんど無いから。

驚いてフリーズしてしまう。



「おーい?」



目の前で手の平をひらひら振られて、
「あ、ごめんなさい」
と、謝った。



「オレ、徹平。中田(なかた)徹平。3年5組」

「あ、私は3組です」

「え?すずめちゃん、3年?なんだ、タメじゃん。なんで敬語?」



徹平くんは楽しそうに笑っている。



下の名前をちゃん呼びされて。

恥ずかしいような、くすぐったいような。



だけど、徹平くんのその笑顔につられて、私も口元が緩んでしまう。


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