架空女子でごめんね
福本さんはうなずいて、
「そうだと思うよ。ずっと『美鳥』でいることなんて、出来ないんだから」
と、ペットボトルのフタを開けて、水を飲んだ。
いつだったか。
徹平くんが、ペットボトルのフタを開けてくれたことがあったっけ。
(しつこいナンパから助けてくれた、すぐあとだったなぁ)
「津山さん」
山川さんが改めて私を見た。
「今日さ、みんなでパーっと遊ぼうよ!カラオケでもボーリングでも、買い物でもいいよ!私達と遊んで、気持ちを軽くしよう!」
「……山川さん」
山川さん達の優しさが、ぎゅうっと体中に染みていく。
「ありがとうございます。私、嬉しいです……」
山川さん達に笑顔を向けると、3人とも笑顔で返してくれた。
午後の授業。
6時間目に体育があった。
体育館で、バレーボール。
メッセージのやり取りで、サーブがネットに引っかかるって書いたら。
『簡単に想像できるかも(笑)』
そんなメッセージをもらった時。
こんなことになるなんて、思ってもいなかった。