架空女子でごめんね
近づきたかった。
隣にいたかった。
1度でいいから、プリンセスみたいに大事にされたかった。
でも。
それ、もう叶えられたじゃない。
他の誰でもない。
徹平くんのおかげで。
今度は。
今度こそは。
私がきちんと頑張る番だよ。
本当のことを言って、謝る番なんだよ。
私は、私の恋の主人公だから。
プリンスをただ待っているだけじゃなくて。
キラキラしてなくても。
華やかじゃなくても。
多少の泥臭さがあってもいいじゃない。
成就しない想いかもしれないけれど。
伝えに行かなくちゃ。
「津山さん、ボールいったよ!」
我に返ると、目の前にはボール。
バンッ!!
避けるヒマなく、顔面に激突する。
「ちょっと、大丈夫?」
山川さんが私の顔をのぞき込む。
「山川さん、私……」
「ん?」
「徹平くんに謝って、きちんと告白したい。今日、放課後に会いに行きます」