架空女子でごめんね

「……うん、わかった」



山川さんはうなずいて、
「ちゃんと告白して、スッキリした気持ちになってきな!ちゃんと慰めてあげるから、全力で振られてきな!」
と言った。



「山川、そんなハッキリ振られるとか言うなよぅ」



島田さんがオロオロしている。



「え、ダメか。ダメだよね、ごめん。つい本音が出た」



山川さんが笑った。



「津山さん、山川のこと怒ってもいいよ」



島田さんが私の背中をさする。

私はそんなふたりを、ぎゅっと抱きしめた。



「え、何ー、私も混ぜてよぅー」



福本さんもやって来て、ハグの仲間に入る。



「こらーっ、あんた達!授業中だっつーの!!」



浜森先生の怒鳴り声が体育館に響いた。







放課後。

私はひとり、電車に乗って。

C東高の最寄り駅までやって来た。

メイクはしていない。

素顔のまま。

津山すずめのままで。



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